公示2カ月前の2022年4月28日、地元紙では、4人だった女性立候補予定者が1人増えたことを詳しく伝えていました。
これで自民、立憲民主、共産党、維新、「NHK受信料を支払わない国民を守る党」等の5党の立候補予定者はすべて出そろい、またすべて女性であったのです。
地元紙の下野新聞も、これだけ女性の候補予定者が揃うのは過去に前例のないことと言っています。
その後、男性1人が立候補を表明して、女性5人と男性1人で1議席を争うこととなりました。2022 年7月10日の選挙の結果は、現役の女性議員の圧勝に終わったのです。
この立候補者における女性の多さ、また当選者が女性というフツーじゃ考えられないことが、栃木県の保守的な政治風土において起こってしまったのです。まさに、画期的な出来事と言ってもよいでしょう!
今回、2022年夏の参院選を全国レベルでみると、女性立候補者は全体の33%、当選者数は過去最高の35人で、25%を占めました。
しかしながら、参院選後の7月14日、2022年度版「男女格差(ジェンダーギャップ)報告」が公表され、特に女性議員や閣僚の少なさが日本の問題点として指摘されたのです。
実際問題として、世界各国で競ってクオータ制を導入した結果、女性の社会進出は進んだようです。
そのクオータ制に関して、このほど画期的なドキュメントが発表されました。それはヨーロッパや世界各国でクオータ制が実施されたりして、「女性政治家や女性候 補者が増えるとどのような社会的影響」があったかについてのレポートです。これは荻上チキさんの先行研究に基づく分析によるもの。
女性議員の増加は、次のような結果をもたらしました。
「1970 年から 2000 年までの 22 の民主主義国家の国防費と紛争行動を分析した研究の結果によると,
女性議員の増加は… →医療、対外援助、公衆衛生への積極度が増す →国防支出や紛争発生率が下がる。ただし、女性閣僚となった場合、その逆となる」(Clayton & Zetterberg, 2018)。
「1990 年から 2010 年まで 76 カ国を対象とした調査分析では、女性代表は汚職を減少させ、汚職は女性 の政府参加を減少させていたと考えられた。汚職は男性を優遇する顧客主義的なネットワークを強化す るため、女性の代表選出に対する抑止力となることを示唆する」(Esarey & Schwindt-Bayer, 2019)。引用元:提供/女性リーダ支援基金(主催パブリックリソース財団)・調査委託先・社会調査支援機構チキラボ)
クオータ制の導入には大いなるメリットがあると言わざるをえないでしょう。
日本でも、単なる努力目標だけではなく本格的なクオータ制の導入を真剣に議論するべき時と思いました。
2023年10月1日(日)追記
10月1日に行われたNHKの日曜討論にて、クオータ制が議論されたようだ。(私は9amからの実況中継は見ていません。今、スマホのNHKニュース・防災を読んでいます。)自民党の高橋はるみ氏と日本維新の会の高木かおり氏以外の他の女性議員たちは、「クオータ制」に前向きです。日本におけるクオータ制に関する機運も高まっているのに、自民党の高橋はるみ氏は本当に残念です。ジェンダー問題の先駆者故森山まゆみ氏が聞いたら、何というでしょうか⁉
NHKニュース・防災アプリより
2023 年11月4日(土)追記
下野新聞の1面によれば、日光市で6月に行われたG7の会合のシンポジウムが11月3日に栃木県主催で開かれた。本県のジェンダー格差解消の実現に向けた「輝く栃木宣言」を採択した。総合ナビゲーターを務めた藤井佐和子宇都宮大副学長は「アンコンシャス・バイアスもジェンダー平等実現の妨げになっている」と訴えた。
2023 年11月9日(木) 追記
9日の下野新聞に大変残念な記事が載っていた。それは、「議会を男女同数に」と思う新人議員の数が、男性は約半数。女性議員の割合は8割越えという。宇都宮大の三田妃路佳教授は、過渡期における「クオータ制」が必要と主張。世界で120ヵ国以上の国で「クオータ制」が導入されている、この現実を男女同数に否定な新人議員達はなんと言うのであろうか?
参考:下野新聞
2023年11月12日(日) 追記
23年度県政世論調査が明らかになった。結果、男女別では「男性優遇」と感じる割合は女性が71.4%で、男性(65.4%)を6ポイント上回った。県ではG7男女共同参画・女性活躍担当相会合での「日光声明」を受け、女性に偏る家事の分担を目指す「ともに家事の日」の制定などの施策に取り組んでいる。
参考:下野新聞
2024年1月1日(月) 追記
本日は1月1日で、新聞各社は本年に活躍しそうな新人学者をきまって紹介する。今日目についたのは、村上彩佳専修大講師。フランスに留学し、政党に男女同数の候補者を義務付けた「パリテ法」を研究したという。
2000年の同法成立後、下院にあたる国民議会の女性議員は、約40%と4倍まで増えた。日本でも、議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」が必要だ。約130ヵ国・地域が導入している現状がある。、、、罰則がなければ効果は生まれないと18年に施行された候補者数の男女均等を促す「政治分野の男女共同参画推進法」を批判する。
2024年5月14日(火)追記
2023年の日本企業の取締役に占める女性の割合は、12.8%というあまりうれしくない数字が英国のコンサルティング会社のデロイト・グローバルによってもたらされた。なんと、日本は、世界50カ国の中の40位というポジションであった。
首位はフランスで、44.0%。2位はノルウエー、3位はイタリアと4割を超えている。いずれの国も役員の女性比率を義務づけるクオーター制など、日本では未実施の精度を導入している。
参考:下野新聞
2024年6月4日(火)追記
6月2日に行われたメキシコの大統領選で、与党の女性候補者クラウデイア・セインバウム氏が見事同じ女性の野党候補者を破って、当選した。朝日新聞における上智大学の三井まり教授のコメントによれば「驚きはない」とのこと。メキシコは「パリテ」と呼ばれる(クオータ制と若干違うが)制度を2014年に導入した。その時からこのメキシコ初女性大統領の出現は、当然なこととして、メキシコ人には受け止めラれていたのかもしれない。羨ましいかぎり。この朝日の記事で特筆すべきは、世界各国の歴代の女性首相や大統領の名前が列挙されていたこと。海外では、実に多くの女性が国のトップについています。たとえ、パリテ法やクオーター制がなくても・・・
参考:朝日新聞DEGITAL 2024/6/3 18:00
2024年6月17日(月)追記
今年のジェンダーギャップ指数が12日に発表され、NHKの記事は「男女平等調査 日本は146ヵ国中118位 政治経済で進出遅れ」という大見出しだ
続けてNHKは、昨年より順位は126位から少し上がったが、以前として日本女性の地位は諸外国に比べ圧倒的に低いという。特に議員や政府高官、それに企業の管理職に占める女性の割合が 少ないそうである。
目下、メディアを賑わしている「経団連の提言する選択的夫婦別姓の問題」「男女賃金格差解消のための作業チームによる対策の検討」「女性の出産後の働き方」などについて、詰めなければならない課題が山積みだ。
とにかく、台湾も女性議員の数は4割をこえた。この台湾もまたクオータ制の導入によって、女性議員の数が増えたとされている。日本もクオータ制の導入に踏み切る時期がもうすぐそこに到来しているような気もする。東京都知事選の2人の女性候補者をテレビで見るにつけ、クオータ制を導入しなくても、強い女性政治家の現実が東京都にはすでにあるような気もする!
参考:NHK NEWS WEB
2024年8月29日(木)追記
本日のX(旧ツイッター)で元東大教授(女性問題研究家)の上野千鶴子氏は、自民党総裁選に関して一言。「夫婦別姓と同性婚は、今やリベラル度の分かりやすい指標。これで、自民党総裁選をチェックしてみると良い」とのこと。
丁度、今日付けの電子版の下野新聞に、2022年6月30日の下野新聞がのっていた。その内容は、上野千鶴子氏が言っているような、女性議員のリベラル度を示すような2022とちぎ参院選候補者アンケート結果。
下野新聞がピックアップしたアンケートの項目は、女性候補者たちの①クオーター制度、②同性婚、③夫婦別姓等の調査結果が掲載されていた。
①のクオータ制ですが、反対したのは、自民の上野氏のみ。
②同参性婚については、反対したのが、自民、参成党。
③選択的夫婦別姓については、上野氏のみが反対。
以上がアンケートの結果ですが、自民の上野氏は本当に保守的だなーと思いました。そう、自民の上野氏は、(夫婦別姓、同性婚に賛成の)小泉進次郎氏には間違っても総裁選の際に、投票しないんだろうなと思いました。
参考:下野新聞、X(旧ツイッター)、
2024年10月15日追記
2024年衆院小選挙区に2人の女性が立候補!
まず、1区に立民の板津由華さん、5区に共産の岡村恵子さん。16人の立候補者のうち女性が2人。ちょっと寂しいか?
参考:東京新聞
2024年10月15日(火)追記
政府目標には届かなかったものの、衆院選出馬の女性候補は過去最大となった。
これまで最も多かったのは、2021年の衆院選で187人。それと比べて、1.7倍。候補者全体に占める女性の割合は、5.6ポイント上昇し、23.4%でした。政府は衆院選候補者の女性の割合を25年までに35%という目標を掲げている。が、今回は達成できなかった。なお一層の政治参加に向けた取り組みが必要のよう。
参考:JIJI.com
2024年10月28日(月)追記
昨日、10月27日衆院選の投票が行われた。自民党議員の裏金問題が大きく取り上げられる中の選挙だった。投票の結果、女性の当選議員の数は、2009年の54人を大きく上回って70人に達したという。
ちなみに、立候補者は314人で、全候補者に占める割合は、23.4%だ。もう少しで男性の立候補者の半数になる。まだまだ男女平等には程遠いのですが、どうでしょうか?
参考:朝日デジタル
2024年10月28日(月)追記
27日に行われた衆院選挙で、女性候補者がしたした得票数を明記する。板津由華 栃木1区 62,914票(立民)。枋木5区の岡村恵子氏は25,203票(共産新)。
参考:NHK
2024年10月30日(水)追記
ついに、国連の勧告が民法の夫婦同姓を義務づける民法の規定を見直し、選択的夫婦別姓の導入するよう促した。また、「男系男子」が皇位を継承することを定める皇室典範の改正を勧告した。
確かに、日本政府の再婚禁止規定の廃止や「性交同意年齢」の引き上げなど、改善された点もある。だが日本に深く根付いた家父長制的な観念があることが問題だと国連はいう。
また、議員や、企業の管理職、法曹界に、女性の割合が少ないなど、政治、経済、司法の分野で意思決定をする地位に女性がいないことも課題と仰る。
日本の家父長的伝統は、高市さんなどにおいて、国連勧告よりも重いと仰るのだろうか?
参考:朝日新聞デジタル
2024年11月7日(木)追記
今朝、NHKテレビを見ていたら、テレ朝のワイドショー番組で人気のコメンテーターの能条桃子さんが登場していた。博識さと爽やかな語り口で注目していた能条桃子さんが、アメリカ大統領選でカマラハリスが敗退の弁を語ったことについて、コメントをしていた。
その際「FIFTYS PROJECT]という、政治分野でジェンダーギャップをはかる政治団体を主宰していることが、テロップで流れた。
その活動とは以下のとおり。まず、20代・30代の候補者を増やし、「地方議員の女性比率をまずは3割に」という目標を掲げ、2023年は34人の候補者を支援し、27人が当選して議員になったという。
そんな、政治活動を能条さんがおやりとは知らずにいました。これヵらは女性の地方議員の経歴に「FIFTYS PROJECT」所属という肩書が増えるかもしれません。新しい女性の政治の風が吹き始めたようです。
参考:NHK,集英社